東北レポート3日目後編(山元町編),2011.4.14

3日目中編から
子供用のお絵描きセットを担当の方にお渡しして、山元町の中央公民館に向かいました。同じ敷地内に、町役場も隣接してて、自衛隊の車両も沢山ありました。装甲車の存在がとっても生々しくて、そのことがとっても記憶に焼き付いてます。
 中央公民館には約1000人の方が避難されておりました。案内されて、担当の方とご挨拶したら、お子様が亘理町の児童会館に行ってて、午前中に音楽を聞いたであろう、ということをおっしゃってました。建物の中は、病院特有の消毒液のにおいがしました。そこでも、改めて避難所に来てるんだなと、気が引き締まる思いをしました。
 グランドピアノも置いてある、吹き抜けのところで、約30人くらいの方々の前で演奏しました。自分が弾いた避難所でのコンサートでは、一番盛り上がりました。演目で、童謡から七つの子も演奏。アンコールに、スティーヴィーのIsn’t she lovryを弾いた後にも、もう一度アンコールでタンゴを弾いて欲しいと言われたので、Tango D’hiver(冬のタンゴ)を演奏しました。被災地ではできるだけ、優しい曲を中心に演奏してきたのですが、”激しい曲ですが、それでもよいですか?”と尋ねたら、それでもよいと言うので、力の限り演奏しました。終わった後に、タンゴをリクエストされた方とお話したのですが、何十年も社交ダンスをされてるとのことで、とっても喜んでくれました。山元町に連れて行ってくれたIさん夫妻の旦那さんが、最後のタンゴで、震災がおこって今まで溜まっていた物が一気にはじけた気がして、とってもよかったと言ってくださりました。
聞いてくれた方のなかに、音楽をやっていたのだけど、津波で楽器が流されてしまって、という話を聞いた時には、ミュージシャンとして、本当に心が痛みました。 

 演奏後に、町役場の中に特設されてる”りんごラジオ”に出演させて頂き、”my soulful song”を演奏させて頂きました。言葉を選びながら、話をさせて頂きました。パリの生活の話、アコーディオンを始めたきっかけ、などなど。生番組はかなり緊張するのですが、被災地での生番組は、普段よりかなりの緊張感がありました。

 ラジオ出演を終えて、Iさん夫妻の家に向かいました。マギーちゃんの友達たちとは、夜に再び合流するということで、その場で別れました。町役場で立ち入り許可証みたいな物をとらないと、自分達の家の地区に入る事ができないそうです。公民館からだんだん海の方に近づいて行くにつれて、津波の被害が至る所に現れてきました。車が車庫じゃないところにあったり、家が土台ごと、違う人の土地に流されて移動してたり、1階は土砂で埋まってる感じで、そこにいる人は作業をしてる自衛隊の方とか、家の人とか。住宅地でしたが、まるでゴーストタウンのような雰囲気がありました。
 撮影の許可を頂いたので、何枚か写真を撮らせて頂きました。つなみがここまできたという線が、家のガレージに残っていました。2メートルくらいの津波だったそうです。近所には、幼稚園があって、園児さんが何人も犠牲になったそうです。パリに帰ってから、ヤフーニュースで、その記事があって、津波の避難放送とかが全く鳴らなくて、犠牲者が沢山でたというのを知りました。本当にかわいそうでなりませんでした。その場には20分も居なかったと思うのですが、聞こえてくるのは、ただ鳥のさえずりだけで、すっごく静かだったのを憶えています。その時の光景は今でも忘れる事ができない、いや、これからもずっと忘れてはいけない光景として、自分の中に刻み込み続けていきたいです。

 家から離れようとした直前に、Iさん夫妻のご両親がめんどうを見ていた、野良猫の”クマちゃん”が自分達の前にひょっこり現れました。津波以来、その姿は確認できてなかったそうですが、無事だったことに、Iさん夫妻ともども、とっても喜んでました。お隣の家の庭にモクレンがとってもきれいに咲いてました。
 山元インターから、仙台を目指して走り始めました。日没前には仙台市内に到着。その車の中で自分は何を話したか、全然憶えておりません。疲れて、寝てたのかもしれないです。ただ、長かった一日だったということ。自分の演奏で、沢山の人が喜んでくれて、嬉しかったこと。津波の被害を目の当たりにしたこと。復興には長い期間、莫大なお金が必要だと感じたこと。津波の被害の光景を絶対に忘れてはいけないということ。。。

 仙台のシティーFMにマギーちゃん共々出演させて頂きました。”My soulful song”を生演奏しました。翌日の仙台ライブで、音響を手伝って頂いた、ちゃんもつさんの番組で、放送始めてから、その番組では初の生演奏だったそうです。マギーちゃんのトークも、ラジオ出演始めてとは思えない、絶妙な感じでした。とってもよい雰囲気の中で、出演させて頂きました。その後、一日の打ち上げ的な感じで、マギーちゃんの友達と合流して、仙台の美味しい居酒屋で、ご飯をごちそうになり、とっても美味しく、楽しい夜でした。

 前編、中編、後編と、3日目は本当に長い一日だったのを、書いてみて改めて感じました。マギーちゃん、マギーちゃんの友人達、Iさん夫妻、ちゃんもつさん、を始め、この日にお会いした全ての方々に改めて感謝したいです。お会いできて本当にうれしかったです。(4日目に続く)

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